2024年8月27日(火)
第9回勉強会&意見交換会を開催しました
2024年8月21日(水)、第9回勉強会&意見交換会をリーガロイヤルホテル大阪で開催。参加者は約40名でした。勉強会では、日本工業大学 先進工学部 データサイエンス学科 教授/教育研究推進室長,博士(学術)荒川 俊也 様に「人間とAI:未来のものづくりに向けて」と題し、人工知能(AI)とは何か?から始まり、AIと人間が協働することのメリットや事例、問題点を提示し、これからのAI時代に向けたお話をいただきました。その後の意見交換会(グループディスカッション)では荒川様の講演を参考に、人手不足に対する対応、AIの導入・生産性の向上について等をテーマに5つのグループに分かれて意見を交わしていただきました。
◆日本工業大学 先進工学部 データサイエンス学科 教授/教育研究推進室長,博士(学術)荒川 俊也 様 講演レポート
人工知能(AI)とは人間の知的な作業を模倣するコンピュータープログラムです。大量のデータを短時間で処理し、効率的な作業ができます。人の手に比べてエラーが少なく正確で、24時間稼働ができること、トレンドを見つけ出せることが長所で、初期コストがかかること、柔軟性が無いことが短所です。その一方、人間には想像力と柔軟性があること、複雑な状況・倫理的な判断ができることが長所です。これらのAIと人間の長所を組み合わせ、AIがデータ分析し、人間が意思決定することで、高いパフォーマンスを実現することができます。
しかしながら、AIと人間が協働するにあたり、何点か課題があります。例えば、信頼性の問題(AIが導き出した結果の経緯がわからない)、AIを使うために人間のトレーニングが必要だが時間とコストがかかること、倫理的及び法廷な問題、プライバシーやセキュリティの観点などです。これらの課題に対し、法規制や標準化をして対応し、技術者の人材育成を進めることにより、AIと人間はうまく付き合っていけることでしょう。
実際にものづくりの現場でもスマートファクトリーや、検査工程での画像認識、設計支援の最適化(ジェネレーティブデザインの普及)などでAIが活用されています。
また、人間×AIの新しい考え方として、AIの「不完全性」を逆手にとり、人間が新しいクリエイティブな着想のきっかけを得たり、「webの知識の寄せ集め」から得られた,不完全な情報を見ることで,「平均的な・一般的な知識」を探ることができる、といった考え方もあると思われます。
中小製造業ではAIを活用するハードルは高く感じますが、AIは身近な色んな場面で活用されています。また、人手不足が深刻化する日本で、AIを使った業務効率化は必要不可欠です。中小製造業も小さなことからAIを使い、慣らしていくことで、今まで以上に付加価値の高い製造がおこなえる未来があると感じました。
◆意見交換会レポート
荒川先生の講演内容を参考に、自社でのAIの活用事例や、自社での活用案(こんな場面でAIを役立てられそう)といった意見が交わされました。
その中でも、AIを人事(勤怠、ストレスチェック、評価)で取り入れている例や、マーケティングの観点で、市場調査に役立てているという例、営業電話の自動応答としてAIを取り入れている例などが紹介されました。また、今後は生産管理のシステム化や、検査の場面で有効活用していきたいといった声が多く挙がりました。
最後に荒川先生よりフィードバックとして、「中小製造業がAIを使っていくには、社運がかかるところもあるので、導入を判断するには難しいが、「まずはやってみる」ということが重要だと感じています。生成AIは本来日本が作っていくべきと思いますが、(あまりに現状の生成AIの進みが速すぎるので)それは無理だと思います。ならば使い道でオリジナリティを出せないか?おもしろい利用方法を研究で昇華させていきたいと思っています。ものづくり企業の皆様からネタが出てきたら教えてほしいです。」と締めくくりました。