2021年9月10日(金)
第六回勉強会&意見交換会を開催しました
2021年9月10日(金)第六回勉強会と意見交換会を、前回に引き続き新型コロナウイルスの影響に鑑みて、リアルとオンラインの2種類の手段で開催。リアルでは、大阪のリーガロイヤルホテルにて執り行い、参加者はリアルとオンライン合わせて約50名でした。
会の冒頭では、ご来賓として、近畿経済産業局 製造産業課長 八田様にオンライン参加をいただき、ご挨拶をいただきました。
勉強会では株式会社 三松 代表取締役 田名部 徹朗様と、株式会社 キョーワハーツ 代表取締役 坂本 悟様・坂本 留実様に、「DX の取り組み事例」をテーマにご講演いただきました。意見交換会ではグループディスカッションの形式で、勉強会でご講演いただいたお話を元に、参加された会員様同士で意見を交わされました。
◆株式会社 三松 代表取締役 田名部 徹朗様 講演レポート
「DX」、中小企業での導入は難しいと言われているが、(株)三松での取り組みを聞いて気軽に取り入れてほしい、という願いからこの度の講演をお引き受けくださいました。
田名部様はDXとは、ただデータが取得できれば良いわけではない。「企業戦略の策定」の中で安定的な収益を得られることこそがDXだとおっしゃいます。
(株)三松では、お客様のニーズが変種・変量化していく中、そのニーズに対応すべく「デジタルと職人技の融合」が必要だと感じた4年程前からDXは必然的に必要だと感じ、導入に向けて動き出しました。導入当初は順調とは言えず、苦労がたくさんありましたが、「人間の勘と記憶だけでは管理が不可能」となっていき、デジタル化することで多くのことが解決されました。
自社のシステムエンジニアが開発した独自の生産管理システムを導入し、作業者が作業ごとにデータ入力を行い、工場内にはビジュアル化された「情報管理板」にて、リアルタイムに現在工場内を流れている製品の詳細をタイムリーに一目で確認することができます。また、使いやすさを重視し、社員にはスマートフォンを支給し、データ入力や、オンラインでのミーティングへの参加を容易にしました。
最後に田名部様は、「企業戦略は各社それぞれ違う為、必ずしもDXを取り入れることが良いわけではない。変化する世の中の流れに合わせて、経営戦略を立てる中でDXを取り入れるか?を考えることが大切だ」とお話されました。
田名部様の講演を聞き、参加された会員様は大きくうなづき、たくさんのヒントを得ることができたと納得をされた表情をされていました。
◆株式会社キョーワハーツ 坂本社長 坂本留実様 講演レポート
坂本社長・留実様のお二人がそれぞれ20分ずつ発表という形で、社長は取り組み概要、留実様は具体的な内容について発表されました。
坂本社長の事業概要のお話の中では、自社事業のほかにBtoC事業の取り組みということで、クラウドファンディングを利用したタッチレスのマグネシウムフック「マグクリーン」の開発の紹介もございました。コロナ禍でBtoC事業に挑戦する企業も増えている中、目標金額を達成し、テレビでも取り上げられたことをお話しされました。
また、社内IoT活用の面ではフリックケア(NCネットワーク)と連携し、スマホ1台でも利用が可能なスモールステップでの導入の様子を紹介され、情報の共有化によって受注・生産情報の漏れがなくなったこと、管理・製造部門での食い違いが解消され社風の改善につながったことなど、経営改革の効果がもたらされたと強調されました。
さらに、一言で「DX化」と言っても3段階に分けられることも併せてお話がありました。
つづいて留実様は実際に端末を操作しながらの発表となりました。
簡単な操作で、材料入荷状況・クレーム/不適合情報が入力される様子や、社員のタスク管理シートを共有されました。システムの導入に当たっては「とりあえずやってみよう」という社風にも助けられ、徐々に受け入れ態勢が整ったということにも触れられました。
「IoT/DX」など、続々と登場する新しい用語に戸惑い、システム導入の二の足を踏む経営者の方も多いかもしれませんが、生で仕組みを見ることができ「参考になった」という意見が多く聞かれました。
◆意見交換会
今回のテーマ「DX」に基づいて、各社の取り組み状況等についてリアル参加者同士、オンライン参加者同士の少人数グループごとに意見交換を行いました。
全体として積極的にDXを導入・運用している企業は少ない印象を受けました。
それでも、始めるのならスモールスタートで・現場を巻き込み社員の方向性を合わせて進めていく方がいいのでは、など、ほぼ各テーブルでの意見が一致している様子でした。
一方で、全面的なDX化を目指すのはどうだろうか、という疑問の声も上がりました。この理由として現場と事務、営業など部署ごとに必要としている情報が異なること、さらに1つのプラットフォームでの管理が難しいことが挙げられました。
その対応として部分的な導入を進めたり、操作が手軽なアプリ形式での導入をしたりしてはどうか、という意見もありました。
終始、リアル/オンラインの参加者同士、和やかに議論が進んでいる様子がうかがえました。
また、講演の内容を元に、お互いにアドバイスを出しあうことで、各々が抱える課題の解決のヒントにつながったようでした。