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2019年8月29日(木)

第四回勉強会&意見交換会を開催いたしました

2019年8月29日(木)第四回勉強会と意見交換会、並びに座談会を開催、今年は約50名の参加者様にお集まりいただきました。

勉強会では近畿経済産業局 総務課長 原田様に「組織の体力強化」をテーマにご講演いただき、意見交換会ではグループディスカッションの形式で、参加された会員様の様々な課題をテーマに取り上げ、意見を交わされました。

 

◆近畿経済産業局 総務課長 原田敏行様 講演 レポート

 

近畿経済産業局 総務課長 原田様に自社の事例を踏まえながら「組織の体力強化」というテーマでご講演をいただきました。近畿経済産業局は、組織体制は5部274名で、うち1/3程度が女性職員です。30年前に比べ、社員数は156名減少しているほか、平均年齢の高齢化など様々な要因により、「働き方改革」が必要となっています。組織の体力減少に直面した際、対策として「ルールの制定」「教育の充実」「意識改革」の三つの取り組みを主に行いました。

 

「ルールの制定」は仕事のメリハリをつける狙いとして、月一年休・週一定時退庁・超過勤務の必要性確認・夏の生活スタイル変革(ゆう活)・男性の産休・フレックスタイム・テレワークなどの制度を導入しました。

 

「教育の充実」の内容では、実践研修の一環として「施策融合化研修」や「先輩体験談研修」と称して、中堅社員が若手社員に教育する制度を導入しました。その他にも、成績の良い社員を表彰する制度があります。表彰制度の一環として働き方改革標語募集もありますが、原田様の部署の若手職員が作成した「“上司の皆様へ”背中で部下は育ちません」との標語が採用されたそうで、30年前の意識は通用しないと原田様の苦労秘話に会場内では笑いが起きました。

 

こうした経験から「意識改革」は粘り強く続けていくことが大切だということが分かったとおっしゃっておりました。近畿経済産業局長は、体力強化策として「ワークライフバランス」ではなく「ワークライフシナジー」であると言われており、仕事を自分の生活の一つとしてシナジー(相乗効果)させる考え方を意識することで、達成感・やりがいを感じさせ、経営者と従業員のお互いが目的を共有しあうことが組織体力強化の為には必要であると話されました。

講演後に参加者から寄せられたお声として、近畿経済産業局が様々な課題を抱えている中で、改善に取り組む姿に「中小製造業として共感できる」とありました。

 

◆座談会

 

座談会では、富士電子工業株式会社の渡邊弘子社長、株式会社フュージョンの國武裕子社長、株式会社太陽堂封筒の吉澤和江社長の三名が、現在の社内での課題として「人の問題」「現場と経営側のギャップ」について話し合われました。

 

 

座談会の中で國武社長は、「社内への働き方改革」の一環として、育児をしている人に対して、子供の学校行事や体調を崩した時は理由を述べてもらえれば、休みを与える優遇制度を導入しました。しかし、それを勘違いした社員が「いい口実で働きやすい会社」と認識し、「社員の甘え」を導く可能性があると話しておりました。今後は働き方のバランスを認識させ、自分の覚悟や想いについてきてくれる人を大切にしていきたいと話していました。

 

渡邊弘子社長は自身の経験から「育児と仕事のバランス」が大切だと述べました。育児が終わり会社に戻ってきてもブランクから思うように仕事ができない恐れがあるので、育休から復帰した社員の受け入れ体制が今後の課題であるとおっしゃっておりました。

 

吉澤和江社長は女性のライフイベント(育児・介護)への対応が経営者側としての今後の課題であると述べていました。女性が休んでいる間のフォローをして戻ってきても復帰できるような状態にするためには、現場で働いてくれている男性の力があってこそなりたっているので、感謝の気持ちを忘れずにもっていきたいとおっしゃっておりました。

会場内は終始白熱する討論で盛り上がり、参加者は女性経営者としてのリアルな経験談を聞くことができたと話していました。

 

 

◆意見交換会

 

座談会につづいて意見交換会も行いました。A~Gの7グループに参加者を分け、各6人前後のチームで座談会の中で述べられた課題をベースに各社で抱える課題に関して自由にディスカッションが行われました。1時間を使って課題を協議、その後各チームでまとめた意見を5分程度で発表頂きました。

 

 

課題:「教育・人材採用」

新入社員を教育していくにあたって、時代の変化に敏感になりその世代ごとに対応していかなければならないというお声や、50代の社員が多く会社の将来が不安、新卒採用の実態、若手社員の現状など様々なご意見がございました。

新卒採用活動に関しては福利厚生や給与ばかりに目が行く学生が多く、周りと比較してしまいジェラシーを感じてしまう学生が多いことが今の就職活動の実態です。社長の情熱や会社の方向性、中小製造業の良さを見出してくれる学生を採用する為にも、業績を公開したり、仕事への熱意を納得するまで説明することで「社長の覚悟」を認識させることが大切だという意見がございました。若手社員教育の面では、教育する側と教育される側の性格や教え方で仕事の質は変化してきます。従って、常にコミュニケーションをとりながら、縦ではなく横からの教育が世代ギャップを埋め、よりよい現代の上司と部下の関係を気づけるという主張がありました。

他にも、会社の若手社員の中で「何をやったらいいかわからない」という意見が多いことがあげられました。マニュアルがあれば安心しきってしまい「考える」いうことをしなくなってしまいます。そうした“甘え”を生まない為にもマニュアルに頼るだけでなく自分の感性を磨くことが大切であるというご意見がありました。

この「教育・人材採用」のテーマはどのテーブルでも一番多く課題としてあげられていました。時代の流れで教育の仕方も変化しつつあります。そんな中で、近畿経済産業省の原田様が「背中で部下は育たない」とおっしゃったように、教育する側と教育される側のよりよいバランスで関係を構築していくことが会社を支える人財を育てていく鍵となるのではないでしょうか。

 

課題:「社内コミュニケーション」

「技術者が辞めていく」という問題に対して 、上司に自分の意見を言えず不満をためてしまい、辞めるという結果に至ってしまっている現状をお聞きしました。そうした不満を、聞き出すために普段からの会話が大切です。また、中堅社員が下の社員を教育する“ブラザーシスター制度”を行い、コミュニケーションを活性化させたことで退職する社員が減ったというお話もありました。普段から感謝の言葉を伝えることの大切さや、SNSやネットだけではなく会話でのコミュニケーションが大切ということが話されていました。

 

課題:「社員の自由と責任の認識」

働き方改革が行われる中で、会社に拘束される時間が短くなり自由な時間が増えてきています。それと並行して自由はあたりまえだと思い始める社員が出てくるかもしれません。「自由を持つためには責任を果たさなければならない」という教育するためには、“長所経営”を行うことが効果的であることが挙げられました。社員を褒め、長所をどんどん伸ばしていくことで仕事に対して責任感やプライドをもって取り組むようになり、会社へ貢献しようという意識へと変化します。「自由と責任」それはまさに表裏一体で、それを社員に認識させることが社員の成長、会社の成長へとつながっていくと話されていました。

 

 

 

全体を通して今回の意見交換会では「組織の体力強化」の中でも「人材」に関する課題や事例が多くありました。企業を存続していくためには「人材」が必要不可欠で、その「人材」に最高のパフォーマンスをしてもらうためには、密にコミュニケーションをとり、その人にあった教育をして、信頼関係を構築し、愛を持って接することが重要です。中小企業にとって家族一員として社員に寄り添う経営が求められていることがわかりました。